ナミュールの工場はルクセンブルク市郊外のハムという自然豊かな場所にあります。この唯一の工場でルクセンブルク国内、フランスの支店で販売されるチョコレート、ケーキ、焼き菓子、パン、アイスクリーム等のナミュールの名を冠する全ての製品を職人たちの手仕事で作られています。 ルクセンブルク国内では最新鋭の工場ながら、オートメーションの機械類は導入せず、職人の手づくりによる伝統製法が固く守られています。
工場ではおよそ80人の職人たちが働いています。それぞれが焼き菓子、チョコレートなど専門に分かれて効率よく作業をすすめます。
生地を練り、プラリネをつくり、コンフィを漬ける……一般的には加工品を使用するような工程も、ナミュールでは職人が厳選の原料から手づくりで拵えます。
たとえば、ナミュールのチョコレートのうち最も古くからあり、また人気も高い「プラリーヌ」。これに使用するプラリネは、シチリア産のアーモンドやピエモンテ産のヘーゼルナッツなどの高級な原料を、粒の状態から丹念に焙煎してペースト状に仕上げていきます。
唯一の工場しか持たず、大量生産をせず、加工品を使用しないという昔ながらのお菓子づくりを守り続けているのは、世界中の有名菓子ブランドの中でもとても稀なことです。
手間を惜しまずこのやり方を続けているのは、できたての新鮮な風味を味わってもらいたいという思いゆえです。これは創業以来ナミュールが最も大切にしてきた信条なのです。
スイス、チューリッヒのシュプルングリ社のマカロンは、ヨーロッパを代表する名品としてよく知られています。
従来のしっかりとした焼き上げのものに比べて、ほどけるような軽い生地に、ふわっと口溶けの良いガナッシュを挟んだことで世界的な人気を博しました。
このマカロン、実はかつてナミュールで修行を積んだスイス人の職人がレシピを持ち帰って広めたものなのです。
シュプルングリでは、このような由来に敬意を表すように「ルクセンブルゲリ」という名前を冠して販売しています。いまではルクセンブルゲリの名は、スイスでマカロンの代名詞となっています。